「自社の商品をもっと多くの人に知ってもらいたいけれど、どの広告を使えばいいのかわからない」
「リスティング広告とディスプレイ広告、どちらが自分のサービスに合っているのだろう?」

Webマーケティングを始めたばかりの頃は、広告の種類や仕組みが複雑で、このように迷ってしまうことが多いのではないでしょうか。予算をかけて広告を出す以上、しっかりと成果につながる手法を選びたいはずです。

今回の記事では、ディスプレイ広告の基本的な仕組みから、リスティング広告との決定的な違い、そして「GDN・YDA」といった主要ネットワークの特徴までをわかりやすく解説します。それぞれの特徴を正しく理解することで、無駄なコストを抑えながら効果的な集客を行うヒントが見つかるはずです。

ただ闇雲に広告を出すのではなく、自社の商材に最適な「戦い方」を選びたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

この記事はこんな方におすすめです
  • 「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」、どっちが自社に合うか迷っている
  • 検索されるのを待つだけでなく、もっと多くの人に商品を認知させたい
  • 一度サイトに来た人を追いかけて、逃してしまった購入チャンスを取り戻したい

目次

ディスプレイ広告とは?Webサイトに表示される仕組み

ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの設けられた特定の「広告枠」に表示される広告のことです。画像や動画を使って視覚的に訴求することができるため、一般的には「バナー広告」とも呼ばれています。

普段、ニュースサイトやブログを見ているときに、記事の途中やサイドバーに表示される商品の画像を目にしたことがあるでしょう。あれこそが、ディスプレイ広告の正体です。まずは、その裏側にある配信システムと、多様な表示形式について解説します。

ここがポイント ディスプレイ広告は別名「バナー広告」とも呼ばれます。文字だけでなく「画像」や「動画」で視覚的に訴求できるため、パッと見のインパクトで興味を惹くのが得意な広告です。

Webページやアプリの広告枠への配信システム

ディスプレイ広告は、特定のWebサイトと個別に契約して掲載するわけではありません。基本的には「アドネットワーク」と呼ばれる広告配信ネットワークを通じて配信される仕組みになっています。

アドネットワークとは、多数のWebサイトやブログ、ニュースアプリなどを束ねた巨大なネットワークのことです。広告主はこのネットワークに対して広告を出稿するだけで、提携している数万〜数百万ものサイトへ一括して広告を表示させることができます。

このシステムの最大の強みは、「枠」ではなく「人」に対して広告を出せる点です。例えば、「過去に美容サイトを見た人」や「30代の男性」といったユーザーの行動履歴や属性データを基に、最適なタイミングで広告を表示させることが可能です。そのため、膨大なWebサイトの中から自社の商品に興味を持ってくれそうなユーザーを見つけ出し、ピンポイントでアプローチできる効率的な仕組みと言えるでしょう。

バナー画像・動画・テキストによる表示形式

「ディスプレイ広告=画像(バナー)」というイメージが強いかもしれませんが、実は表現の幅は非常に多彩です。目的に応じて使い分けることで、ユーザーへの反応率を大きく変えることができます。

最も一般的なのは、商品写真を魅力的に見せる「バナー(画像)広告」ですが、最近では動きで目を引く「動画広告」の需要も急速に高まっています。短い動画であれば、静止画では伝えきれない商品の使用感や、ブランドの世界観をより直感的に伝えることができるため、ユーザーの指を止める効果が期待できます。

また、画像を使わずに文章だけで訴求する「テキスト広告」も、選択肢の一つです。記事の文脈に自然に馴染むため、「いかにも広告」といった雰囲気を避けたい場合に効果を発揮します。

さらに、掲載先のデザインに合わせて自動的にレイアウトが調整される「レスポンシブ広告」も便利です。これを活用すれば、一つの素材で様々なサイズの広告枠に対応できるため、制作の手間を大幅に削減できるのも嬉しいポイントと言えるでしょう。

代表的な2大配信ネットワーク(GDN・YDA)の特徴

日本国内でディスプレイ広告を運用する場合、必ずと言っていいほど利用される2つの巨大なプラットフォームがあります。それがGoogleの提供する「GDN(Googleディスプレイネットワーク)」と、Yahoo! JAPANの「YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)」です。

どちらも多くのサイトに配信できる点では共通していますが、得意とするユーザー層や掲載場所に明確な違いがあります。両者の特徴を以下の通り整理しました。

  • GDN (Google):提携サイト数が圧倒的。YouTubeなどGoogle系サービスに強い。
  • YDA (Yahoo!):Yahoo!ニュースなどのブランド力が高い面に掲載できる。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

選び方のコツ 迷ったら「ターゲット」で使い分けましょう!
・とにかく広く多くの人に届けたいなら「GDN(Google)」
・信頼性を重視し、国内の特定層に届けたいなら「YDA(Yahoo!)」

Googleディスプレイネットワーク(GDN)の配信先

GDNの最大の特徴は、提携しているWebサイトの数が世界最大規模であることです。個人のブログから大手ニュースサイトまで、200万以上のWebサイトやアプリに広告を配信できると言われており、インターネットユーザーの90%以上にリーチが可能だともされています。これにより、ニッチな趣味を持つユーザー層にも広くアプローチすることが可能です。

また、Googleが提供している自社サービスへの配信も強力な武器となります。主な配信先は以下の通りです。

  • 世界最大の動画プラットフォーム「YouTube」
  • 多くのビジネスパーソンが利用する「Gmail」
  • 「食べログ」や「livedoor Blog」などの大手パートナーサイト

特にYouTubeは全世代での利用率が高いため、動画広告と組み合わせることで強力な認知拡大が見込めます。日常的に利用頻度の高いサービスへ幅広く広告を出せるため、まずは多くの人に知ってもらいたいというフェーズにおいて、非常に頼もしい存在となるでしょう。

Yahoo!ディスプレイ広告(YDA)のユーザー属性

YDAは、日本最大級のポータルサイトであるYahoo! JAPANの各サービスへ広告を配信できる点が最大の魅力です。Yahoo!はPC・スマートフォンともに利用者が非常に多く、月間アクティブユーザー数は膨大です。特に「Yahoo!ニュース」やトップページ(タイムライン)などの、信頼性の高い一等地に広告を掲載できるため、ブランドイメージを大切にしたい企業にとって適しています。

YDAが強みを持つ主な配信先には、以下のようなものがあります。

  • 圧倒的なPV数を誇る「Yahoo!ニュース」
  • Yahoo! JAPANのトップページ(タイムライン)
  • Yahoo!知恵袋やYahoo!天気などの関連サービス

Googleと比較すると、Yahoo!は高年齢層や主婦層、ビジネス層の利用率が高い傾向にあります。また、トップページのニュース記事の合間に表示されるインフィード広告は、ユーザーの閲覧体験を阻害しにくく、自然な形でクリックを促せるのが特徴です。これらの層をメインターゲットとする商材であれば、YDAの方が高い費用対効果を期待できるケースも少なくありません。

ディスプレイ広告とリスティング広告の3つの違い

Webマーケティングにおいて、ディスプレイ広告と並んでよく利用されるのが「リスティング広告(検索連動型広告)」です。どちらもWeb集客の柱となる手法ですが、その役割や得意とする領域はまるで異なります。

これらを混同したまま運用してしまうと、「クリックはされるけど売れない」「認知が全く広がらない」といった事態に陥りかねません。両者の違いを明確にするために、主な相違点を3つのポイントにまとめました。

  • ターゲット層:「まだ欲しくない人」か「今すぐ欲しい人」か
  • 掲載場所:「Webサイトの中」か「検索結果」か
  • 費用対効果:「クリック単価」と「コンバージョン単価」のバランス

ここからは、それぞれの違いについて詳しく解説していきます。

ディスプレイ広告
(今回のテーマ)
リスティング広告
(検索連動型)
ターゲット 潜在層 (そのうち客) 顕在層
(今すぐ客)
掲載場所 Webサイトの中
動画・アプリ内
検索結果の
上部・下部
クリック単価 安め (数十円〜) 高め
(数百円〜)
成約率(CVR)
低め

高め
得意なこと 認知拡大
追客(リタゲ)
今すぐの
獲得・購入

アプローチ層の違い(潜在層 vs 顕在層)

最大の違いは、ターゲットとなるユーザーの心理状態、つまり「購買意欲の高さ」にあります。

リスティング広告は、ユーザーが自らキーワードを入力して検索した瞬間に表示されます。これは「今すぐにその商品が欲しい」「悩みを解決したい」という明確な意図を持った「顕在層」へのアプローチが得意であることを意味します。まさに、ニーズが顕在化した瞬間に解決策を提示する手法です。

一方で、ディスプレイ広告は、ニュースを読んだり動画を見たりしている最中のユーザーに表示されます。彼らは必ずしもその商品を今すぐ欲しいわけではありません。しかし、「言われてみれば興味があるかも」といった「潜在層」に対して広くアプローチし、新たなニーズを掘り起こすことができるのが大きな特徴です。「今すぐ客」を刈り取るのがリスティングなら、将来の顧客となる「そのうち客」を育てるのがディスプレイ広告と言えるでしょう。

イメージで覚えよう! ・リスティング広告 = 「今すぐ客の刈り取り」
・ディスプレイ広告 = 「そのうち客への種まき」
役割が全く違うので、両方を組み合わせることで最大の効果を発揮します。

掲載場所の違い(Webサイトの中 vs 検索結果)

広告が表示される場所も全く異なります。この「場所」の違いは、ユーザーが広告を見る「姿勢」にも影響を与えます。

リスティング広告はGoogleやYahoo!の「検索結果画面」の上部や下部に、テキストのみで表示されます。ユーザーは情報を能動的に探している最中であるため、シンプルな文字だけの情報でも十分に読み込まれ、クリックされる可能性が高くなります。

それに対してディスプレイ広告は、ポータルサイトやブログ、SNSなどの「Webサイトの中(コンテンツの隙間)」に表示されます。ユーザーは記事やコンテンツを見ることを主目的としているため、広告はあくまで「脇役」です。単なるテキストでは見過ごされてしまうことも少なくありません。そのため、視覚的にインパクトのある画像や動画を用いて、ユーザーの視線を一瞬で奪い、興味を惹きつける工夫が必要不可欠となります。

費用の考え方(クリック単価 vs コンバージョン単価)

費用対効果の指標に関しても、両者には傾向の違いがあります。予算配分を考える上で非常に重要なポイントです。

一般的に、リスティング広告は「今すぐ客」を狙い撃ちするため、競合他社との入札競争が激しくなりがちです。その結果、1クリックあたりの単価(CPC)が高騰しやすい傾向にあります。人気のキーワードでは、1クリック数百円から数千円になることも珍しくありません。

対してディスプレイ広告は、リスティング広告に比べてクリック単価を安く抑えやすいのが魅力です。ただ、まだ購買意欲が低い層にも配信されるため、クリックされたとしても、すぐに購入(コンバージョン)へ至る確率は低くなりがちな点には注意が必要です。

結果として、1件の成約にかかる総額(CPA)で見ると、商材によってはリスティング広告と変わらなかったり、むしろ高くなってしまったりする場合もあります。クリック単価の安さだけに飛びつかず、全体のバランスを見ながら判断していきましょう。

ここに注意! クリック単価(CPC)の安さだけで判断するのは危険です!
成約率が低くなりがちな分、最終的に1件の成約にかかる費用(CPA)は割高になる可能性もあります。必ず「成約単価」で費用対効果を見極めましょう。

ディスプレイ広告を活用する最大のメリット

「成約率が低いなら、リスティング広告だけでいいのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、ディスプレイ広告にはリスティング広告では決してカバーできない独自の強みがあります。

これを活用することで、ビジネスの成長スピードを加速させることができるはずです。ディスプレイ広告を取り入れることで得られる主なメリットは以下の3点です。

  • 検索行動を起こしていないユーザーにも商品を認知させられる
  • 画像や動画を使うことで、商品の魅力を直感的に伝えられる
  • 一度サイトを訪れたユーザーを追跡して再アプローチできる

特に「認知」と「追客」において、ディスプレイ広告は最強のツールとなります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

まだ商品を知らない潜在層への認知拡大

リスティング広告の弱点は、「検索されないと表示されない」という点にあります。どんなに素晴らしい商品でも、ユーザーがその存在やキーワードを知らなければ、検索のしようがありません。つまり、知名度の低い新商品や、全く新しいジャンルのサービスの場合、リスティング広告だけではアプローチできる層に限界が来てしまうのです。

ディスプレイ広告であれば、まだその商品を知らないユーザーの目に無理やり触れさせることが可能です。「こんな商品があったんだ!」「これ、私の悩みに効くかも」という気付きを与えることで、ゼロから需要を生み出すことができます。

また、ディスプレイ広告を見たユーザーが、後日思い出して社名で検索してくれる「指名検索」が増えることもよくあります。認知の母数を広げることは、Webマーケティング全体の成果を底上げすることに繋がるのです。

一度訪れたユーザーへのリターゲティング配信

Webマーケティングにおいて非常に強力な機能の一つと言われるのが、この「リターゲティング(リマーケティング)」です。これは、過去に自社のWebサイトを訪れたことがあるユーザーに対して、再び広告を表示させる仕組みのことを指します。

実際、Webサイトを訪れたユーザーの9割以上は、何も購入せずに離脱すると言われています。しかし、一度はサイトに来たということは、少なからず興味を持っていた証拠です。そうしたユーザーに対し、後日別のサイトを見ているタイミングで広告を表示することで、「あ、そういえばこれ気になってたんだ」と思い出してもらうきっかけを作ります。

検討期間が長い商材や、高額な商品であるほど、即決されることは稀です。この再アプローチ機能を使って、ユーザーの記憶に留まり続けることが、最終的な成約の決め手となるケースが非常に多いのです。

配信前に知っておくべきデメリットと注意点

メリットの多いディスプレイ広告ですが、運用を始める前に理解しておくべき注意点も存在します。これらを知らずにスタートしてしまうと、「思ったように効果が出ない」とすぐに諦めてしまう原因になりかねません。

特に、リスティング広告と同じ感覚で運用すると失敗しやすいポイントがあります。リスクを正しく把握し、事前の対策を練っておきましょう。

リスティング広告と比較した際のコンバージョン率

前述の通り、ディスプレイ広告のターゲットは「今すぐ欲しいわけではない」潜在層が中心です。そのため、リスティング広告と比較すると、どうしてもコンバージョン率(成約率)は低くなる傾向にあります。「広告を出せばすぐに売れる」という即効性を期待しすぎると、肩透かしを食らうかもしれません。

ディスプレイ広告の真価は、時間をかけてユーザーの興味を育てていく点にあります。直接的な獲得だけでなく、「広告を見た人が後で検索して買ってくれた(ビュースルーコンバージョン)」といった間接的な効果も含めて評価する必要があります。

また、最初からハードルが高い「商品購入」をゴールにするのではなく、「無料資料請求」や「メルマガ登録」など、ユーザーが行動しやすいポイントをゴールに設定するのも一つの戦略です。短期的な数字だけに一喜一憂せず、中長期的な視点で運用を続ける忍耐力が求められます。

バナー制作にかかるリソースとクリエイティブの質

テキストだけで出稿できるリスティング広告とは異なり、ディスプレイ広告ではバナー画像や動画の制作が必要不可欠です。しかも、ただ画像があれば良いわけではありません。ユーザーは広告を見慣れているため、デザインが素人っぽかったり、メッセージが伝わりにくいクリエイティブだったりすると、全くクリックされないという事態も起こり得ます。

また、同じ画像を使い続けるとユーザーに飽きられてしまうため、定期的に新しいデザインに入れ替えるといった工夫も欠かせません。季節やトレンドに合わせた画像の差し替えや、キャッチコピーのテストなども必要になるでしょう。

社内にデザイナーがいない場合は外注費がかかりますし、自作する場合もそれなりの工数が発生してしまうでしょう。運用コストだけでなく、こうした「制作コスト」や「管理の手間」もあらかじめ計算に入れておくこと。これが、無理なく運用を続けるための大切なポイントになります。

放置はNG!画像の鮮度が命です 同じバナーを使い続けると、ユーザーに見飽きられてクリック率が急激に下がります(クリエイティブ摩耗)。
最低でも月に1回程度は新しい画像に差し替えるなど、常に新鮮さを保つ運用体制が必要です。

ディスプレイ広告の利用が向いているサービス・業種

ここまでディスプレイ広告の仕組みや特徴を解説してきましたが、「結局、うちの会社には合っているの?」という疑問が残っているかもしれません。実は、ディスプレイ広告は商材によって向き不向きがはっきりと分かれる広告手法でもあります。

ここでは、特に導入をおすすめしたい3つのカテゴリーについて解説します。自社のビジネスがこれらに当てはまるか、ぜひ確認してみてください。

視覚的な魅力が購買に直結するアパレル・食品・コスメ

ディスプレイ広告の最大の武器である「画像」や「動画」を最大限に活かせるのが、このカテゴリーです。例えば、とろけるようなチーズのシズル感がある料理写真、モデルが着用して動きを見せる洋服の動画、使用後の肌のツヤ感を表現したコスメなどは、理屈抜きでユーザーの感情を動かす力を持っています。

ユーザーは文字を読むよりも先に、画像を見て「いいな」「欲しいな」と直感的に判断します。そのため、以下の要素を持つ商材は非常に有利です。

  • パッケージデザインがおしゃれな商品
  • 使用しているシーンが想像しやすい商材
  • 「インスタ映え」するような視覚的インパクトがあるもの

これらは潜在層の「衝動買い」や「指名検索」を誘発しやすいため、クリエイティブの質にこだわることで、予想以上の大きな成果が期待できるでしょう。

認知と信頼の獲得が必要な不動産・スクール・BtoB

マンション購入や結婚式場選び、あるいは企業のシステム導入といった高単価な商材は、広告を見て即決されることはまずありません。ユーザーは複数の他社サイトと比較し、じっくりと時間をかけて検討を行います。

こうした「検討期間が長い」サービスこそ、ディスプレイ広告の出番です。リターゲティング機能を活用し、検討中のユーザーに対して定期的に広告を表示させることで、自社の存在を忘れさせないように刷り込むことができます。

「よく見かける会社だな」「信頼できそうだな」という親近感を時間をかけて醸成し、最終的な申し込みの後押しをする役割を果たします。何度も接触することで好意度が増す「ザイオンス効果(単純接触効果)」を狙うのに最適な手法と言えるでしょう。

特定の商圏や属性を狙うジム・クリニック・店舗ビジネス

地域密着型のビジネスを展開している場合も、ディスプレイ広告は強力な集客ツールとなります。GDNやYDAでは、「市区町村」単位での細かいエリア指定や、年齢・性別といったデモグラフィック属性でのターゲティングが可能です。

例えば、「店舗から半径5km以内に住む、20代〜30代の女性」に絞ってエステサロンの広告を配信すれば、遠方のユーザーへの無駄な広告費をかけずに、見込み客だけにアプローチできます。

これは従来のチラシのポスティングに近い感覚ですが、Web広告なら「何回表示されたか」「何回クリックされたか」が数値で可視化できる点が大きく異なります。より効率的に、かつデータに基づいた地域の集客を行うことができるのが、店舗ビジネスにおける大きなメリットです。

【小話】WEB集客は「釣り」と同じ!魚のいない海に網を投げるな

最後に、あなたに一つだけアドバイスをさせてください。Web広告の世界ではよく、ディスプレイ広告を「投網(とあみ)漁」、リスティング広告を「一本釣り」に例えることがあります。広く網を投げて魚を獲るか、狙った魚を確実に釣り上げるか、という違いです。

成功の鉄則 どんなに良い道具(広告)を使っていても、魚(ターゲット)がいない場所に投げても意味がありません。
「誰に届けたいか?」というターゲット設定こそが、ディスプレイ広告の成否を分ける9割の要素です。

しかし、道具の使い方ばかりを気にして、肝心の「魚」のことを見落としているケースが後を絶ちません。ここでは、釣り人(マーケター)として持つべき大切な視点を2つに分けてお話しします。

立派な網(クリエイティブ)も「魚のいない海」では無意味

ディスプレイ広告で成果が出ない時、多くの人は「バナーのデザインが悪かったのかな?」「予算が足りないのかな?」と、自分の持っている『道具(網)』のせいにしがちです。

ですが、失敗の最大の原因はそこではありません。多くの場合、そもそも「魚が一匹もいないプール」に、必死になって網を投げ続けていることにあります。どれだけ高価で美しい網を使っても、そこにターゲットがいなければ釣果はゼロです。

初心者はつい、管理画面の設定やバナーの見た目といった「テクニック論」に目を奪われがちです。しかし、まずは網を置く前に、「自分が海だと思っている場所は、本当に魚がいる場所なのか?」と疑うことからスタートする必要があります。

魚(ユーザー)の行動パターンを想像して先回りする力

では、どうすれば魚のいる場所が見えてくるのでしょうか。そこで必要になるのが、魚(ユーザー)の習性をリアルに想像する力です。

「自社の商品を欲しがる魚は、朝と夜、どっちに活発に泳いでいる(スマホを見ている)?」「悩みがある時、どんな餌場(Webサイト)を回遊する?」「どんな餌(キャッチコピー)なら食いつく?」

これらを徹底的にシミュレーションしてみてください。魚群の動きさえ正確に把握できれば、あとはそこに適切なタイミングで網を入れるだけで、驚くような成果が得られるはずです。広告という「道具」に使われるのではなく、魚の動きを読む賢い「釣り人」としての視点を持つことが大切になってきます。

まとめ | ターゲットと目的に合わせた広告運用で成果を最大化

今回の記事では、Webマーケティングの基礎であり、強力な集客手段でもある「ディスプレイ広告」について、その仕組みから活用法までを詳しく解説しました。

ディスプレイ広告は、まだニーズが顕在化していない層にアプローチし、将来の顧客を育てるのが得意な手法です。「今すぐ客」を狙うリスティング広告とは役割が異なるため、両者の違いを理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

最後に、今回のポイントを振り返りましょう。

  • ディスプレイ広告はWebサイトの枠内に表示され、視覚的な訴求が得意
  • GDNとYDAという2大ネットワークがあり、配信先やユーザー層が異なる
  • 認知拡大やリターゲティングには最適だが、即効性はリスティングに劣る
  • アパレルなどの視覚重視や、不動産などの検討型サービスと相性が良い

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、まずは少額からスタートし、反応を見ながらクリエイティブやターゲットを調整していくのがおすすめです。焦らず、自社の商材に合った「勝ちパターン」を見つけていきましょう。