「WEBマーケティングに取り組みたいけれど、SEOやWeb広告、SNSなど手法が多すぎて、どれを選べばいいかわからない」と悩んでいませんか?施策の種類が増え続ける今、自社の課題や目的に合った最適な手法を見極めることは簡単ではありません。

今回の記事では、代表的なWEBマーケティングの種類や特徴を整理し、目的別の選び方や実施時の注意点を解説します。それぞれのメリットやデメリットも踏まえて紹介するので、予算やリソースに合わせた無駄のないプランを立てるヒントになるはずです。

これからWEB集客を強化し、確実に成果を出したいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事はこんな方におすすめです
  • WEBマーケティングの種類が多すぎて、どれが自社に合うかわからない
  • 予算は限られているけれど、失敗せずに最短で成果を出したい
  • 「集客」はできているのに、なかなか「売上」につながらない

目次

WEBマーケティングの種類とは?施策の全体像と役割

WEBマーケティングとは、WebサイトやWebサービスを用いて行われるマーケティング活動の総称です。単にアクセスを集めるだけでなく、最終的な商品購入やサービスの申し込みにつなげる仕組みづくり全般を指します。

しかし、「WEBマーケティング」と一口に言っても、その手法は多岐にわたり、それぞれ得意とする役割が異なります。効果的な施策を選ぶためには、まずは全体像を把握し、どの手法がどのフェーズで機能するのかを理解しておくことが大切です。

ここでは、施策選びの土台となる基礎知識について解説していきます。

集客から成約までの全体フロー

WEBマーケティングを成功させるためには、ユーザーが商品やサービスを認知してから購入に至るまでの流れをイメージする必要があります。一般的に、ユーザーの行動は「集客」「接客」「成約」「再訪問(リピート)」というステップをたどります。

たとえば、いくら「集客」で多くの人をサイトに集めても、その後の「接客」がおろそかであれば、購入にはつながりません。逆に、素晴らしい商品ページがあっても、そこに人を呼ぶ導線がなければ誰にも気づかれないでしょう。このように、マーケティング活動は一つの点ではなく、線でつながっていることを意識してください。各工程に適切な手法を当てはめ、スムーズな流れを作ることが成果を出すポイントとなります。まずは自社のボトルネックがどこにあるかを見極めることから始めましょう。

デジタルマーケティングとの違い

よく混同されがちな言葉に「デジタルマーケティング」がありますが、この二つはカバーする範囲が少し異なります。WEBマーケティングがWebサイトを中心としたオンライン上の活動に特化しているのに対し、デジタルマーケティングはデジタル技術を活用したあらゆるマーケティング活動を含みます。

具体的には、実店舗での来店データの活用や、IoT機器からのデータ収集、デジタルサイネージなどがデジタルマーケティングの領域です。つまり、WEBマーケティングはデジタルマーケティングの一部に含まれる要素だと考えるとわかりやすいでしょう。Webブラウザやアプリを通じて完結する施策であればWEBマーケティング、オンラインとオフラインを横断してデータを活用する場合はデジタルマーケティングと捉えるのが一般的です。

種類ごとの役割とフェーズ分類

無数にあるWEBマーケティングの手法も、その役割によって大きく二つのグループに分けることができます。一つは、まだ自社を知らないユーザーにアプローチしてサイトへ誘導する「集客・認知(攻め)」の施策。もう一つは、サイトに訪れたユーザーの関心を高めて成約へつなげる「接客・育成(守り)」の施策です。

「とりあえず流行っているから」と手当たり次第に始めるのではなく、自社の課題が「人が来ないこと」なのか、それとも「来ているのに売れないこと」なのかを見極めてください。課題のフェーズに応じた種類を選ぶことが、最短距離で成果を出すための第一歩となります。次章からは、それぞれのフェーズにおける具体的な手法について見ていきましょう。

【集客・認知】WEBマーケティングの主な種類と特徴

ここからは、Webサイトへのアクセスを増やし、認知を広げるための具体的な手法について解説します。まずは自社の存在を知ってもらわなければ何も始まりません。

予算や目的によって選ぶべき手法は異なります。まずは以下の比較表で、それぞれの特徴や費用感の違いをざっくりと把握してみましょう。

手法 即効性
(スピード)
費用感
(コスト)
資産性
(積み上げ)
狙える層
SEO
(検索上位)

数ヶ月〜

無料〜

高い
悩みがある
顕在層
リスティング
(検索広告)

即日〜

クリック課金
×
低い
今すぐ客
顕在層
ディスプレイ
(バナー広告)

数日〜

クリック/表示
×
低い
まだ知らない
潜在層
アフィリエイト
(成果報酬)

提携次第

成果報酬

紹介記事による
比較検討層
第三者視点
SNS運用
(ファン化)

徐々に

無料〜

ファン資産
共感・ファン
潜在〜顕在
動画・YouTube
(理解促進)

企画制作あり

制作費

高い
ファン・検討
全層

それぞれの特徴やメリット、向いているケースを詳しく解説していきます。どの手法が自社のターゲットに届きやすそうか、イメージしながら読み進めてみてください。

SEO(検索エンジン最適化)

SEO(Search Engine Optimization)は、GoogleやYahoo!などの検索結果で自社のWebサイトを上位に表示させるための施策です。ユーザーが悩みや知りたいことを検索したタイミングで記事やページを表示できるため、関心の高い質の良いアクセスを集められるのが最大の特徴と言えます。

広告費をかけずに集客できる点が大きなメリットですが、コンテンツの作成には時間と労力が必要です。また、Googleのアルゴリズム評価を得て効果が出るまでに数ヶ月から半年程度の期間を要することも珍しくありません。しかし、一度上位表示されれば、中長期的に安定したアクセスを生み出す「資産」となります。即効性よりも、継続的な集客の基盤を作りたい場合や、ブランディングを強化したい場合に適した手法です。

ここがポイント SEOは金銭的なコストは低いですが、「時間」というコストがかかります。短期的な売上には不向きですが、積み上げたコンテンツが企業の資産として残り続けるのが最大の強みです。

リスティング広告(検索連動型広告)

リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページ上部などに連動して表示されるテキスト形式の広告です。ユーザーが特定のキーワードを検索した瞬間に広告を出せるため、SEOと同様に「今すぐ欲しい」「解決したい」というニーズが顕在化している層へピンポイントでアプローチできます。

SEOとの大きな違いは「即効性」です。入札額や広告の品質によって掲載順位が決まるため、アカウントを開設して設定したその日から検索結果の上位に表示させることも可能です。その反面、クリックされるたびに費用が発生するため、予算管理やキーワード選定のスキルが欠かせません。短期間でキャンペーンの告知をしたい場合や、SEOの効果が出るまでの期間を補完したい場合に非常に有効な手段となるでしょう。

ディスプレイ広告・アドネットワーク

ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に画像や動画、テキストを表示する広告手法です。「バナー広告」と呼ばれることもあります。リスティング広告が「検索した人」を狙うのに対し、ディスプレイ広告はニュースサイトやブログを見ているユーザーに対して広くアプローチできるのが特徴です。

この手法の強みは、まだ自社の商品を知らない「潜在層」に認知を広げられる点にあります。年齢や性別、居住地、興味関心などの細かいターゲティング機能を活用すれば、自社のターゲットになりそうなユーザーへ効率的に情報を届けられるでしょう。画像や動画を使って視覚的なインパクトを与えられるため、ブランドの認知度向上や、新商品の告知、リターゲティング(一度サイトに来た人を追跡する機能)などに適しています。

アフィリエイト広告(成果報酬型)

アフィリエイト広告は、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)を通じて、アフィリエイター(媒体主)が運営するブログやSNSなどで商品を紹介してもらう手法です。そこ経由で成果(購入や申込)が発生した場合にのみ報酬を支払う仕組みのため、「成果報酬型広告」とも呼ばれ、広告主にとっては無駄なコスト(空振り)が発生しにくいというメリットがあります。

第三者の視点で商品が紹介されるため、企業発信の公式情報よりもユーザーの共感を得やすく、購入の後押しになりやすい点も魅力です。ただし、どのような紹介のされ方をするかを完全にコントロールすることは難しいため、ブランドイメージを損なわないよう掲載条件や提携先の管理を行う必要があります。初期費用を抑えつつ、費用対効果(CPA)を重視して売上を伸ばしたい場合におすすめの手法です。

ここに注意
アフィリエイターの表現によっては、誇大広告と捉えられブランドイメージを損なうリスクがあります。「NGワード」の設定や、定期的な掲載内容のチェック体制が必須です。

SNSマーケティング(運用・広告)

SNSマーケティングは、InstagramやX(旧Twitter)、Facebook、TikTok、LINEなどのソーシャルメディアを活用して、ユーザーとの関係性を築く手法です。公式アカウントでの情報発信によるファン作り(運用)と、タイムライン上に流すSNS広告の二つの側面があります。

SNSの最大の武器は「共感」と「拡散力」です。ユーザーが「いいな」と感じた投稿はシェアされやすく、広告費をかけずに爆発的な認知拡大(バズ)を生む可能性も秘めています。また、コメントやDM機能を通じてユーザーと直接コミュニケーションが取れるため、親近感を醸成し、熱心なファンを育てるのにも最適です。近年では「ググる」よりも「タグる(ハッシュタグ検索)」で情報収集する層も増えているため、BtoCはもちろん、企業の認知拡大を狙うBtoBにおいても重要なチャネルとなっています。

動画マーケティング・YouTube

動画マーケティングは、映像と音声を使って商品やサービスの魅力を伝える手法です。YouTubeへの動画投稿や、Webサイトへの動画埋め込み、ショート動画の活用などが含まれます。スマートフォンの普及と通信環境の向上により、今やWebマーケティングにおいて欠かせない存在となりました。

テキストや静止画だけでは伝えきれない「雰囲気」「動き」「使用感」などを直感的に伝えられるのが動画の強みです。1分間の動画が伝える情報量は、Webページ3,600ページ分に相当するとも言われています。商品の使い方をわかりやすく解説したり、社員のインタビューで社風を伝えたりと、信頼感を高めるコンテンツとして非常に優秀です。制作コストはかかりますが、記憶に残りやすく、視聴者の感情を動かし深い理解を促せるのも大きな魅力です。

【接客・育成】WEBマーケティングの主な種類と特徴

アクセスを集めることができても、そのまますぐに購入してくれるユーザーばかりではありません。比較検討中のユーザーの関心を高めたり、離脱を防いだりして、最終的な成果(コンバージョン)につなげるための「接客・育成」の手法も重要です。

いわば「穴の空いたバケツ」に水を注ぎ続けないための施策です。まずは、それぞれの施策が「どの段階」で効果を発揮するのか、下の表で整理してみてください。

手法 役割
(何をする?)
対象
(誰に?)
効果
(メリット)
コンテンツ
マーケティング

信頼構築
検討中〜
ファン層

資産化・LTV
LPO
(LP最適化)

接客改善
広告からの
流入客

CVR向上
EFO
(フォーム最適化)

カゴ落ち防止
購入直前の
アツい客

離脱率改善
メール・LINE
マーケティング

追客・維持
過去客・
休眠客

リピート率
MA
(自動化ツール)

仕組み化
膨大な
見込み客

機会損失減

これらは単体で行うよりも、集客施策とセットで考えることで真価を発揮します。それぞれの役割を詳しく解説していきます。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって価値のある有益なコンテンツ(記事、動画、ホワイトペーパーなど)を提供し、見込み客としての信頼を積み重ねていく手法です。単に商品を売り込むのではなく、ユーザーの疑問や悩みを解決する情報を提供することで、「この分野ならこの会社」という専門家としてのポジションを確立します。

たとえば、化粧品会社が「正しいスキンケアの方法」を発信したり、会計ソフトの会社が「確定申告の基礎知識」を解説したりするのがこれに当たります。即効性はありませんが、蓄積されたコンテンツは中長期的な資産となり、広告費をかけずに優良な見込み客を集め続けるエンジンとなります。ユーザーを教育(育成)し、納得した上で購入してもらうための土台となる施策であり、顧客ロイヤリティの向上にも寄与します。

LPO(ランディングページ最適化)

LPO(Landing Page Optimization)は、広告や検索結果をクリックしてユーザーが最初に着地するページ(ランディングページ)を改善し、成約率(CVR)を高める施策です。「Web上の優秀なセールスマン」を育てるようなものだと考えてください。

具体的には、ファーストビューで魅力的なキャッチコピーを見せる、商品購入ボタン(CTA)のデザインを目立たせる、ユーザーの声(口コミ)を配置して安心感を与える、といった改善を行います。せっかく広告費をかけて集客しても、ランディングページの魅力が不足していれば、ユーザーはすぐに他社サイトへ逃げてしまいます。ヒートマップツールなどでユーザーの行動を分析し、A/Bテストなどを繰り返しながら、どのデザインや言葉が最もユーザーの心に響くかを検証し続けることが成功の鍵です。

EFO(入力フォーム最適化)

EFO(Entry Form Optimization)は、お問い合わせやお申し込みフォームの使い勝手を良くして、入力途中の離脱を防ぐ施策です。実は、購入を決意してフォームまで進んだユーザーの多くが、入力の手間や分かりにくさを理由に画面を閉じてしまっています。

「入力項目が多すぎる」「エラー表示がどこにあるかわからない」「郵便番号からの住所自動入力がない」といったストレス要因を取り除くことで、コンバージョン数は劇的に改善します。集客やページ制作に力を入れても、最後の最後であるフォームが使いにくければ全ての努力が水の泡になりかねません。地味な施策に見えますが、売上に直結する非常に費用対効果の高い改善ポイントと言えます。まずは自社のフォームをスマホで入力してみて、使いづらさがないかチェックしてみましょう。

メールマーケティング・メルマガ

メールマーケティングは、保有している顧客リスト(メールアドレス)に対して情報を発信し、関係性を維持・強化する手法です。古くからある手法ですが、SNS全盛の現在でもその効果は衰えておらず、ROI(投資対効果)が非常に高い施策として知られています。

一斉送信のメールマガジンだけでなく、ユーザーの行動や属性に合わせて内容を変える「セグメント配信」や、資料請求から数日後に自動でフォローメールを送る「ステップメール」など、手法は進化しています。「検討中のユーザーには導入事例を送る」「購入者には関連商品をおすすめする」など、一人ひとりの状況に合わせた情報をダイレクトに届けられるため、リピーターの獲得や休眠顧客の掘り起こしに威力を発揮します。

MA(マーケティングオートメーション)

MA(Marketing Automation)は、これまで解説したメール配信や顧客管理、Webサイト上の行動分析などをツールを使って自動化・効率化する仕組みのことです。見込み客一人ひとりの興味関心度合い(スコア)を可視化し、「今、誰にアプローチすべきか」を教えてくれます。

たとえば、「料金ページを何度も見ているユーザー」を自動で検知して営業担当に通知したり、特定の資料をダウンロードした人にだけ特別な案内メールを送ったりすることが可能です。手動では追いきれない膨大な数の見込み客に対し、最適なタイミングで最適なコミュニケーションを取ることができるため、機会損失を防ぐことができます。少人数で効率的に商談や成約につなげるための、強力なサポート役となるはずです。

自社に合うWEBマーケティングの種類の選び方

ここまで紹介したように、WEBマーケティングには数多くの種類があり、それぞれに強みがあります。しかし、すべての施策に手を出す必要はありません。むしろ、あれもこれもと中途半端に手を出すよりも、自社に合った手法にリソースを集中させる方が成功確率は高まります。

では、どのようにして最適な手法を選べばよいのでしょうか。ここからは、迷ったときに指針となる4つの選定ポイントを解説します。自社の状況と照らし合わせながら、優先順位をつけていきましょう。

解決したい課題や目的の明確化

まずは、「何のためにWEBマーケティングを行うのか」という目的をはっきりさせることが出発点です。目的が曖昧なまま手段を選んでしまうと、方向性がブレてしまい、期待した効果を得ることはできません。

たとえば、「新商品の知名度を一気に上げたい」のであれば、拡散力のあるSNSやディスプレイ広告が適しています。一方で、「今すぐ売上が欲しい」のであれば、購買意欲が高い層を狙えるリスティング広告が最優先となるでしょう。また、「広告費を抑えて長期的に集客したい」ならSEOやコンテンツマーケティングにじっくり取り組むべきです。このように、解決したい課題(認知不足、集客不足、成約率の低さなど)によって選ぶべき「道具」は自然と決まってきます。

ターゲット層の属性と行動特性

自社の商品を届けたい相手(ペルソナ)が、普段どこにいて、どんな行動をしているかを想像することも重要です。ターゲットがいない場所でどれだけ大声で叫んでも、声は届きません。

たとえば、10代〜20代の若年層がターゲットなら、検索エンジンよりもSNS(InstagramやTikTokなど)での情報収集が主流のため、SNS広告や運用に注力すべきでしょう。一方で、決裁権を持つ企業の担当者(BtoC)がターゲットなら、勤務中に利用するPCでの検索(SEO・リスティング)や、Facebook広告などが有効な接点となります。「彼らは普段スマホで何を見ているか?」「どうやって情報を探しているか?」という視点を持つことで、選ぶべき媒体は自然と絞り込まれてくるはずです。

確保できる予算とリソース

WEBマーケティングには、必ず「お金(広告費)」か「時間(人件費)」のどちらかがかかります。自社のリソース状況に合わせて、無理のない手法を選ぶことが継続のポイントです。

豊富な資金があるなら、リスティング広告などのWeb広告を活用することで、手っ取り早く集客を実現できます。しかし、予算が限られている場合は、知恵と時間を絞り出すしかありません。SEOやSNS運用、ブログ執筆などは、媒体費はかかりませんが、コンテンツを作成するための人的リソースと根気が必要です。「誰が」「どのくらいの時間を」割けるのか、社内の体制を現実的に見つめ直してみましょう。場合によっては、一部を外注するという選択肢も検討に入ります。

落とし穴に注意 「広告費0円」のSEOやSNS運用も、担当者の人件費(工数)は発生します。「タダでできるから」と安易に始めると、通常業務を圧迫してリソース不足で頓挫しやすいので注意が必要です。

短期的成果か中長期的資産か

「いつまでに成果を出したいか」という時間軸も、手法選びの大きな決定打となります。来月の売上をどうしても作りたいという状況で、効果が出るのに半年かかるSEOを始めても手遅れになってしまいます。

即効性を求めるなら、広告出稿が最も確実な選択肢です。ただし、広告は出稿を止めれば流入も止まる「掛け捨て」の側面があります。逆に、SEOやコンテンツマーケティングは立ち上がりこそ遅いものの、一度育て上げれば広告費なしで集客し続ける「資産」へと育ちます。理想的なのは、広告で短期的な売上を確保しつつ、並行してSEOで資産を積み上げていくハイブリッドな戦略が、最も安定した成果を生むでしょう。

WEBマーケティングを実施する際の注意点

最適な手法を選んだとしても、ただ実施するだけでは期待したような成果は得られません。Webの世界は変化が激しく、ユーザーの目も肥えているため、漫然とした運用では競合に埋もれてしまうからです。

失敗を避け、確実に成果を積み上げていくために、運用時に必ず意識しておきたい4つのポイントを整理しました。

  • 複数の施策を組み合わせる重要性:単体ではなく相乗効果を狙う
  • 継続的なデータ分析とPDCA:やりっ放しにせず改善を繰り返す
  • 社内体制の構築と外注の活用:リソース不足による頓挫を防ぐ
  • ユーザー目線での価値提供:売り手都合の押し付けを避ける

これらは、手法に関わらず共通して言える「成功の鉄則」です。それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

複数の施策を組み合わせる重要性

WEBマーケティングの手法は、それぞれ単独で完結するものではなく、組み合わせることでより大きな効果(シナジー)を発揮します。一つの手法に依存するのはリスクが高いだけでなく、機会損失を生む可能性があるからです。

たとえば、リスティング広告で興味を持ってサイトに来たユーザーが、その場では購入しなかったとします。そこでSNSでの発信やリターゲティング広告(一度訪れた人に広告を出す手法)を組み合わせれば、再び自社を思い出してもらい、購入へつなげることができるかもしれません。このように、「集客」と「追客」の手法を掛け合わせるなど、ユーザーとの接点を多角的に持つことで、取りこぼしを防ぎ、全体の成約率を高めることができます。Web上でのユーザーの動きは直線的ではないため、面で捉える意識が大切です。

継続的なデータ分析とPDCA

WEBマーケティングの最大の利点は、すべての結果が「数値」で見えることです。チラシや看板とは異なり、どの広告から何人来て、何人が購入したかが明確にわかります。このデータを活用しない手はありません。

施策を実行したら、必ずGoogleアナリティクスなどの解析ツールを使って結果を振り返りましょう。「なぜうまくいったのか」「どこで離脱されたのか」という仮説を立て、改善策を実行するサイクル(PDCA)を回し続けることが重要です。最初から100点満点の施策など存在しません。泥臭く数字と向き合い、微調整を繰り返した先にあるのが、競合には真似できない「勝ちパターン」なのです。まずは週に一度、数字を見る習慣をつけることから始めてみてください。

成功のコツ データは「見る」だけでは意味がありません。「分析結果をもとに、サイトのどこを直すか」というアクションまで落とし込んで初めて価値が生まれます。小さな改善を積み重ねることが最強の近道です。

社内体制の構築と外注の活用

「WEBマーケティングを始めよう」と意気込んでも、専任の担当者がおらず、他の業務との兼任で進めようとすると失敗するケースが後を絶ちません。片手間で成果が出るほど甘い世界ではないからです。

まずは社内で主担当を決め、評価制度を含めた体制を整えることが先決です。もし社内にノウハウやリソースがない場合は、無理をせず外部のプロ(制作会社やコンサルタント)を頼るのも賢い選択でしょう。すべてを自前でやろうとして中途半端になるよりは、コア業務以外を外注するなどして、スピード感を持って施策を実行に移す方が、結果的にコストパフォーマンスが良くなることも多々あります。自社のリソースと相談しながら、最適なチーム編成を考えてみてください。

ユーザー目線での価値提供

テクニックやツールにこだわりすぎると、つい忘れてしまいがちなのが「ユーザー目線」です。どんなに高度な分析を行っても、立派な広告を出しても、そこにユーザーにとっての「価値」がなければ誰も振り向いてはくれません。

「売りたい」という気持ちが先行して、押し売りのような文章になったり、使いにくいサイトになったりしていないでしょうか。WEBマーケティングの本質は、画面の向こうにいる人の悩みを解決し、喜んでもらうことにあります。「これは本当にお客様のためになるか?」という問いを常に持ち続けることこそが、小手先のテクニックに勝る最強のSEO対策であり、マーケティング戦略と言えるでしょう。

【小話】WEBマーケティングは「料理」と同じ!道具に使われるな

ここまで真面目な話が続いたので、少し視点を変えてみましょう。実は、WEBマーケティングは「料理」と非常によく似ています。「種類や手法」という道具選びにこだわりすぎて、本来の目的を見失ってしまうケースが非常に多いのです。

「どの手法が一番儲かるのか?」と探す前に、本質を理解するために少しキッチンの風景を想像してみてください。この例え話が、迷ったときの判断基準になるはずです。

高級な包丁があっても料理はうまくならない

「最高級の包丁」を買えば、誰でも明日から一流のシェフになれるでしょうか?答えは「NO」ですよね。WEBマーケティングも全く同じです。「高機能なMAツールを導入すれば売上が上がる」「流行りのSNSを始めれば客が来る」というのは、道具を買って満足しているだけの状態に過ぎません。

どんなに素晴らしい道具(手法)も、それを扱う人の「腕(戦略)」と「素材(商品力)」が伴っていなければ、美味しい料理(成果)は作れないのです。高額なツールを契約したものの、使いこなせずに放置されている……なんて事態は避けたいもの。「何を使うか」よりも「どう使うか」が重要であることを忘れないでください。まずは、今手元にある道具で何が作れるかを考えることから始めてみましょう。

相手の好みに合わせた「メニュー選び」の本質

また、料理を振る舞う「相手」のことも忘れてはいけません。相手がお腹を空かせた若者なら「ボリューム満点の肉料理(インパクトのある動画広告)」が喜ばれるでしょう。しかし、胃もたれ気味の年配の方なら「素材の味を活かした和食(信頼性の高いコラム記事)」の方が響くはずです。

「自分が作りたいから(流行っているから)」という理由だけでメニューを決めても、相手は食べてくれません。WEBマーケティングにおける種類選びもこれと同じです。「相手が今、何を食べたい(知りたい)と思っているか」を徹底的に想像し、その好みに合わせて最適なメニュー(手法)を提供することこそが、成功への最短ルートなのです。

まとめ | 自社に適した種類を選びWEBマーケティングを成功させよう

今回の記事では、多岐にわたるWEBマーケティングの種類や特徴、そして自社に合った選び方や注意点について解説しました。

WEB集客には、SEOや広告といった「攻め(集客)」の手法から、メールマーケティングなどの「守り(育成)」の手法まで数多くの選択肢が存在します。しかし、全ての手法に手を出す必要はありません。大切なのは、自社の解決すべき課題とターゲットの行動を明確にし、限られた予算とリソースの中で最適な「組み合わせ」を選ぶことです。

最初は思ったような結果が出ないこともあるかもしれません。しかし、WEBマーケティングは結果がすべて数値で見えるからこそ、何度でも改善が可能です。「アクセス0」は失敗ではなく、データ収集の第一歩です。まずは小さな施策からスタートし、PDCAを回しながら、自社だけの勝ちパターンを見つけていきましょう。この記事が、あなたの会社のWEBマーケティングを成功させるための「地図」として役立つことを願っています。